本日はシボレーインパラの雨漏り修理を完了させていきたいと思います。
前回までの記事は以下をご覧ください。
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ルーフ(フロントガラス)からの雨漏りの原因
筆者のインパラは天井からの雨漏りがありますのでまずはこちらを修理していきます。
正確にはフロントガラストップからの漏れになります。
まず原因としてはフロントガラスを車体に張り付けているシール材の劣化が原因となります。
丁度こちらの画像が問題の箇所となりますが、
塗装が黒なうえにシール材も黒なためちょっと見にくいですね。
状態としてはシール材の弾力が完全に失われており、且つ硬化とひび割れが発生しています。
硬化したシール材と車体との間に隙間が生まれてしまっているためにここに水が染みこんでしまい車内への漏れと繋がっております。
筆者のインパラは結構漏れが酷い状態で、雨が降ると目に見えるしずくが毎秒滴るくらいでした。
おそらく運転席側の水たまりの原因はこちらで間違いなさそうです。
また漏れた水がちょうどコラムシフトのノブ付け根辺りに直撃しているようで、
このままだとコンソール内側へのダメージも懸念されるので早急に対処が必要です。
フロントガラスシール部へのアクセス(分解)
特に難しいことはないのですがフロントガラスの周りにあるモールを外すことですぐにアクセス可能です。
モール材はサイド側から外す必要があり、内側に爪が噛んでいるのでガラスや車体に傷がつかないように当て布と内張剥がし用のスクレーパーなどを使用して分解しましょう。
外したモール材がボディに擦れないように注意して、
特にトップ部分の一番大きいモール材に関しては片側を外してからもう片側を外すイメージになりますので外れた側がぶらぶらしないようにエアパッキンなどで養生しながらの作業をおすすめします。
修理用のシール材には何を使うべきか?
分解が完了したら早速漏れの修理に入っていきます。
シール材には近所のホームセンターでも手に入る適当なシリコンシーラントを用いればよいと思います。
通常フロントガラスを交換するにはプライマーを使用したりフロントガラス交換専用の接着剤などがありますが価格的に高価ですし今回はフロントガラスを交換するわけではないので一般的なシーラントで十分かと思います。
筆者の場合はこちらのシール材をカインズで調達しました。
またこのようなタイプを使用する場合はコーキングガンも必要になりますので併せて調達します。
どっちも数百円程度で入手可能です。
また漏れを修理するにあたり漏れている個所を単純に穴埋めするだけでも良いのですが、
筆者は一旦既存のシール材を剥がせるだけ剥がして作業を進めました。
こうするほうが新しいシール材の密着性が上がり次の水漏れまでのサイクルが長くなるはずです。
古いシール材は単純にカッターなどで切れば問題ないです。
モール材に隠れる内側の塗装に関しては多少傷が入っても問題ないと思うのであまり気にせずにどんどん剥がしていきます。
剥がし終わったら最後にパーツクリーナーなどで脱脂しておきよりシール材の密着性を高めます。
多少はみ出たとしてもモール材で隠れますので心配無用です。
このくらい埋めておけば漏れは止まると思います。
乾燥したらモール材を元のようにはめ込みましょう。
次項からドアの建付けやサイドウィンドウの位置調整の最終章へ入っていきます。
どういうときにドアの建付け調整/サイドウィンドウの位置調整が必要なのか?
ドアの建付けが狂っていると折角交換したウェザーストリップとの間に隙間が生まれその部分から新たに漏れが発生するため、
一通りのウェザーストリップを交換した場合最後に必ずドアの建付け調整(または確認)を行う必要があります。
それに新品のウェザーストリップと古いウェザーストリップでは微妙にゴムの形状が違っていたりするので新しいものに合わせて正しい位置に調整する必要もありますね。
ですがこの調整作業ですが正直かなりしんどいです。
まずドアの構造を理解するまでに時間がかかります。
筆者も作業を行う前にyoutubeや海外のサイトも含めて色々探し回ったのですが、
ドアの建付け調整については一切情報が無かったので手探りで行うことになりました。
シボレーインパラのドアの構造
ドアの構造をざっくりと理解するためにはとりあえず以下の画像を見てください。
筆者のインパラのようにそもそも建付け不良で窓と車体の間に隙間が空いているのは稀だったのかもしれませんが、
窓と車体(パッキン)の間に隙間が生じている場合は主に上の画像に示した部分を調整すれば直すことが可能です。
また漏れや隙間を直す場合大前提として三角窓のレールチャンネルは交換を終えている状態でないと、建付け調整中に窓が脱落したりするので要注意です。
こんな感じに限界までサイドウィンドウを上げても隙間ができる場合は建付けの調整が必要です。
というかテープ痕が窓についているあたりを察すると、
たぶん前オーナーは窓にテープを張って漏れを止めていたではないかと思います。
これとは別に車体とドアそのものに隙間がある場合はドアの受け軸の調整(六角ネジのやつ)をすればいいだけです。
シボレーインパラのドアの建付け調整/サイドウィンドウの位置調整
前オーナーのようにまさかテープを張って雨を凌ぐわけにはいきませんので頑張って調整作業を行っていきます。
この調整作業はトライアンドエラーを繰り返しながら車ごとに微妙に異なるフィットポイントを探り出す必要があるので同じように調整してもドンピシャでいかない可能性がありますのでそこはうまく微調整してください。
ステップ1-三角窓(ベンチレーションウィンドウ)の位置決め
さて、まずは三角窓の位置を確定するのが最初のステップです。
始めにウィンドウクランクを仮付けしてサイドウィンドウを限界まで下ろしましょう。
次に先ほどの画像に示した三角窓の固定及び張力調整ネジの1と2、そして三角窓の固定ネジを緩めます。
すると三角窓自体がドアに沿って前後にグラグラと動く状態になります。
この状態のまま一回ドアを完全に閉めます。
閉めるとおそらく三角窓のトップとルーフパッキンとの間に隙間が出来ていると思います。
ここを隙間ができない位置まで手で持ち上げて位置合わせをします。
もし位置合わせをするときにあまりにも固くて持ち上がらないようであれば張力調整のネジが干渉しているか、
緩みきれていないボルトがあるので再度確認しましょう。
隙間ができない位置が判明したらドアを開けてその位置で三角窓の固定ネジを締めます。
この状態だと三角窓自体の位置は確定されましたが、以前として内外方向へのグラグラ感は残っていると思うので再度ドアを閉めて三角窓の張力を調整します。
張力が内側に張りすぎている状態だとドアが閉まらず、外側に張りすぎていると隙間ができるようになります。
絶妙な位置になるまで軸のボルトを回し確定したらナットも締めて固定します。
これで三角窓は完全に固定された状態になるので次のステップに移行できます。
ステップ2-サイドウィンドウの位置決めと昇降限界の決定
三角窓が固定出来たら次はサイドウィンドウの調整を行います。
まずはデフォルトの状態でサイドウィンドウを限界まで上げてドアを閉めたときに隙間があるか、もしくは何らかの干渉があるかを確認しましょう。
うまくいけば最初から問題ない場合もありますが筆者の場合隙間がまだある状態でした。
もし作業中に窓が脱落するなどの異常がある場合はサイドウィンドウ全体の位置が悪いのでこの場合、サイドウィンドウ全体の位置決め用ステーAssyの部分を調整しますが通常は触る必要はありません。
この部分には3本のボルトがあり3本全てを外してしますとステーごと脱落してしまう恐れがありますので2本ずつ緩めながら作業をするとサイドウィンドウをそのものを前後に動かすことができますが、過度に動かすと上部が干渉するようになり昇降動作そのものに影響を及ぼすようです。
また通常、隙間の調整のみを行う場合はサイドウィンドウの限界点調整ポイントで調節を行います。
画像にボルトが見えますが裏にはサイドウィンドウがぶつかる板が存在します。
この板がサイドウィンドウの昇降地点の限界を物理的に決めています。
ボルトを緩めることで板を上下させ昇降限界点を変更できます。
因みにこの画像ではサイドウィンドウのリア部分の限界点を調整しますが厳密にはフロント側も限界点を調整できるようになっています。
つまりガラスの前後でそれぞれ限界点を設定できるわけですが色々実験してわかったのですがフロント側に関してはまず調整の必要がなさそうです。
理由は後述する事象が発生したときに多少絡んでくるくらいでそもそも物理的に限界点まで上がることがないというのが結論です。
ステップ3-サイドウィンドウの押し付け負荷の調整
またロックノブの丁度横にあるボルトに関してはサイドウィンドウの押し付け加減を調整しています。
このような押し付け用のステーがあり窓を上げ下げするときに固すぎたりガラスをひっかくような異音がする場合はこれが不具合を起こしているかもしれません。
見てのように筆者のインパラの場合既に当てゴム?当て布?のようなものが擦り切れてなくなっておりマジックテープ的なものがむき出しになっています。
それどころか金属の棒が突き出してガラスを引っ掻いてます。
このまま放置すると窓に傷が入るだけでなくガラスが割れてしまう原因にもなりかねません。
なので前回ウィンドウモール一式を交換したときに出てきたチャンネルの廃棄からよく滑るパッキン部分を切り出しステーに張り付けることで調整しました。
サイドウィンドウを上げたときに限界調整板にガラスが干渉してしまったり車体のエッジの部分で干渉したりする場合このステーの張力を調整することで解決する場合があります。
ステップ4-最終調整
後は筆者が嵌ったポイントでもあるのですが窓が水平に上昇しない場合があります。
つまり限界までガラスを上げたときにガラスのリア部には隙間は生じないのにフロント部分には隙間が生じるアンバランスな状況が起こりえます。
こういった状況になってしまった場合は一旦ガラスを外してベースのステーそのものを調整しないと直りません。
むしろ調整しても直らないことがあります。
筆者のインパラの場合は左のドアに関しては水平に上昇しますが、右のドアに関しては微妙に斜めになって上昇します。
同じように調整しても改善しなかったので何らかの構造上の欠陥があるのだと思います。
この場合、一方の限界調整板を適正箇所に持っていき(主にリア)もう一方には余裕を持たせることで改善する場合があります。
言葉にすると説明が難しいのですが、一方が限界点に接触することでそれ以上ガラスが上がらない状態になりますがもう一方にはまだ余裕があるのでさらに上昇します。
改めて考えてみるとこれが本来の限界点設定の使い方なのではとも思いますが、
デメリットもあり、この方法を用いると一度ウィンドウクランクが止まったところからさらに無理やりクランクを回すことになるので当然色々な部分に負荷がかかるようになります。
幸いクランクもギアも金属パーツでできているため少々の負荷には耐えられそうですがこれは最終手段として用いたいですね。
文章でうまくまとめるのが難しかったですが、
このような工程を得てしてようやくドアの建付け調整とサイドウィンドウの位置調整を完了することができるのです。
サイドウィンドウステーのローラーが破損した件
一応調整自体は上述した一連の作業でなんとかなるのですが、
作業中、実は数々の不足の事態が起こっていたのです。
その中でも最もヤバい事件がサイドウィンドウの昇降のベースとなっているローラーが軸から折れてしまったことです。
調整作業に丸5日かける中でおそらく無理な負荷もたくさん与えてしまったことも原因と思います。
上述したアンバランス問題の強硬解決策のデメリットの一つが発生したともいえるこの問題ですが実際かなりまずいです。
何故なら窓が完全に開いたままになってしまいます。
もしパーツをアメリカから取り寄せするとなると1週間以上も開いたままになってしまうということです。
ガレージにでも入れられればいいのですが不幸なことにうちのガレージには先客が2台あるのとそもそもサイズがでかすぎて入らない問題があるため何としても早急に直す必要があります。
ということでホームセンターでそれっぽい部品を調達
実際に使ったのはシングルプーリースイブルというものです。
何のパーツなのかよくわからなかったのですがほとんど径が変わらなかったのでこれを使用することにします。
ただし穴を空けたり、研磨して厚みを変更する必要がありました。
で実際に取り付けてみる。
オリジナルと違って樹脂ではなく金属なので耐久性は問題なさそうですが微妙に機構が異なるのでただナットで止めただけだと緩んで外れる恐れがありますので低強度のネジロックでナットは固定します。
何はともあれ不測の事態に対応できてよかったです。
にしても50年前の車は窓の開け閉め一つとってみてもこんなにもアナログな仕様だったのか改めて感心しました。
それに比べて今の車はスイッチ一つで全自動開け閉め。。。
便利すぎる。
今回使用した工具
佐藤和樹(Kazuki Sato)
株式会社UJackの代表取締役社長。現在26歳。
趣味はキャンプと車弄りと映画鑑賞。
本社は千葉県にあり、
キャンプ用品をメインに取り扱っている。
製品の設計や開発なども独自に手掛ける。
UJack(ユージャック)は
universal jack(世界に浸透する)を意味し、
文字通り世界中の人々にユージャッカーになってもらうことが目標。
あなたのアウトドアライフにさらなる”喜び”を。
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