夏のキャンプや渓流釣り、ハイキング、森林浴などで、山ヒルに血を吸われた経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
なんの前触れや痛みもなく、いつのまにか血を吸われ、気づいた時には大量の出血!まさに、夏のアウトドアの恐怖です。
ここでは、そんな山ヒルの生態と、もし咬まれたときの対処方法、そして、一番重要な、咬まれないための予防対策をお話ししていきます。
Contents
山ヒルとは? どこにいるの?
山ヒルは、ミミズの仲間で、直射日光や乾燥を嫌います。
形は円筒形で大きさは2~3cmですが、伸縮するので、伸びた時は8cmになります。
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山ヒルは陸にすむヒルですが、落ち葉の下など湿気の多いところを好みます。
活動期は、4月から11月までで、特に山ヒルの生息や活動に最も適した気象条件になる6月から9月までは大量に出現します。
もともと山ヒルは秋田県から沖縄までの山地の森林に生息していて、昔は山地の奥深い場所にしかいませんでした。
しかし、近年、人口減少による手入れ不足によって荒れた里山に、山ヒルの宿主であるシカやイノシシなどが多く降りてくるようになって、その動物と一緒に山ヒルの生育域が拡大しているといわれています。
そのため現在では山地以外でも、中山間地の渓流沿いや小川沿いなどで増えてきているようです。
現在、日本で山ヒルによる被害が確認されていないのは埼玉県、大阪府、福井県、石川県、青森県、北海道、山口県、北部九州、四国です。
また、観光客が増加することによって、山ヒルの生息域が広がっていることも指摘されています。
観光客の服や体にくっついて、遠くまで運ばれた結果でしょう。
山ヒルがすみつきにくい環境にするためには、乾燥した環境を作ることです。
草刈りや落ち葉などの片づけ、樹木の間引き(間伐)などにより、風通し・日当たりをよくすることで、山ヒルの増殖を抑えることができるといいます。
山ヒルの生態
天気が良い時には落葉の下などに潜んでいますが、動物が接近すると表に出てきたり、草に登って体を長く伸ばして直立し、その先端をあちこち振り回すように動かしたりします。
山ヒルは人や動物の熱・二酸化炭素・振動などを感知して、木の上から落ちてきたりもします。
山ヒルは体に3本の線が入っており、のこぎりのような歯を持っていて、血を吸います。
血を吸う時、口からヒルジンという血の凝固を妨げる物質を送り込み、体の10倍以上の血を吸うことがあるといいます。
1時間以上も吸血し、その後、自然に落下して逃げていきます。
そのあと、血を吸った山ヒルは一ヶ月経った頃に5~6個の卵を産みます。
卵は約1カ月で孵化して3~4回吸血すると早くも大人になります。
大人になった後は年一回吸血すれば、2年間飲まず食わずの絶食にも耐えることができるそうです。
寿命は5~6年で、動物や人が吐く息に含まれる炭酸ガスや体温などで、その存在を知り移動します。
移動速度は1分に1m程度とのことです。
山ヒルはシャクトリムシのようにほふく運動をして移動し、動物にくっついた後、前後の吸盤で皮膚の柔らかいところまで移動して、吸血を始めます。
その速さは分勝負だといいます。
私たちの衣服の中に入り込んで吸血したり、靴にくっつき、それが靴下などに滑り込んだりします。
気温は10℃以上であれば活動が可能ですが、乾燥には弱いという性質をもちます。
山ヒルに咬まれたとき症状と対処法
次に、山ヒルに血を吸われたときにおきる症状をみてみましょう。
咬まれた直後の症状
咬まれた時の症状は、何もありません。
山ヒルは、皮膚を切り裂いて流血させますが、すぐに気が付くことが困難です。
痛みがないのは麻酔成分を注入するからです。
山ヒルに咬まれたことに気づくのは、衣服が血だらけになっていたり、違和感があって首筋を触ると、手に血がべっとりついたりした時です。
血が止まらないのは血液凝固を防ぐ成分を注入するからです。
この成分は「ヒルジン」と呼ばれています。
ヒルジンの作用によって、山ヒルが体を離れた後でも血がとまらず、適切な処置を行わなければ、数時間近くも出血が続くことになります。
山ヒルの歯の並びはアルファベットのYの字に似ていて、咬み口も数ミリ程度のYの字のような形になるので、山ヒルにやられたことが一目瞭然です。
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応急処置
もし、咬まれた場合、まずすることは、体から山ヒルをはがすことです。
無理やり引きはがすと皮膚をさらに傷つける事にもつながるので、慎重におこなってください。
山ヒルは乾燥が苦手なので、食塩をかけることで強制的に脱水状態にさせましょう。
そして、力尽きた山ヒルが自然に体から離れるのを待ってください。
そのほかにも ハッカ油、アルコール 、酢 、火(ライターなど)、防虫スプレー なども有効です。
ライターを使う時は、やけどの恐れがあるので、十分に注意が必要です。
次に、傷口を絞って血液と一緒にヒルの唾液成分を搾り出し体の外に排出させます。
その際、ポイズンリムーバーがあると便利です。
ポイズンリムーバーはアブや蜂に刺された際も役に立ちますのでキャンプに行く際は1つ持ち歩いておくと安心ですね。
その後すぐに流水で洗い、傷口の消毒を行い、かゆみ止めなどを塗っておくと安心です。
目立った症状がなくても必ず医療機関を受診してください。
その際は、山ヒルに咬まれたことと、時間や場所などを医師に告げてください。
しばらくして出てくる症状
具体的な症状は、痛み、かゆみ 、腫れ、ジンマシンなどです。
抗ヒスタミン剤が配合されている薬を塗り、皮膚科で適切な処置を受けてください。
山ヒルは毒を持ってはいませんが、かゆみや痛みはしばらく続くこともあります。
怖いのは感染症です。
咬み口から病原体が入り込むことがあります。
山ヒルに咬まれないための防御対策は?
皮膚を露出させない服装をしてください。
夏であっても、基本は長袖・長ズボン、つばの広い帽子、長靴が必須です。
首筋にはタオルをしっかり巻いて、侵入口をできるだけふさいでください。
塩を携行してください。
振りかければ山ヒルを退治できます。
食塩水で服やタオルなどを濡らしておくことも良案です。
塩を靴に塗ったり、食塩水を足元にスプレーしたり
してください。
靴下やタオルを塩漬けにしておいて履くというアイデアもあります。
靴下を塩水につけて乾燥させてから履くことで、予防することができます。
その他、ストッキングを履く、アルコール、ハッカ油、山ヒル専用の虫よけなども有効です。
市販されている山ヒルよけスプレーに「ヤマビルファイター」があります。
それを衣類にスプレーするだけでヤマビルは寄ってきません。
塗料のように衣類にしっかりつくため水に流されにくく、雨でも効果が長く持続します。
しかし、山ヒル専用の薬剤は直接皮膚には使えません。
所定の使用方法に従って靴などに塗布してください。
おわりに
山ヒルの被害にあったときは、パニックになりがちですが、あわてず、落ち着いて行動し、すばやく応急処置をしてください。
山ヒル自体に毒はなく、失血死することもないということを覚えておいてください。
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佐藤和樹(Kazuki Sato)
株式会社UJackの代表取締役社長。現在26歳。
趣味はキャンプと車弄りと映画鑑賞。
本社は千葉県にあり、
キャンプ用品をメインに取り扱っている。
製品の設計や開発なども独自に手掛ける。
UJack(ユージャック)は
universal jack(世界に浸透する)を意味し、
文字通り世界中の人々にユージャッカーになってもらうことが目標。
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