竜巻は短時間で狭い範囲に集中して、大きな被害をもたらす自然災害のひとつです。
先日のことです。
「奄美黄島で竜巻の恐れ!」というニュースに、私の反応は「昔は日本で竜巻が起こるなんて聞かなかった!」でした。
竜巻と言えばアメリカなどの海外のイメージだったのです。
ここでは、日本全国で年中起きている竜巻についての情報、前兆、キャンプなどで屋外にいる時に竜巻に遭遇した場合、私たちが取るべき行動について解説していきます。
Contents
竜巻とは
竜巻は、発達した積乱雲から伸びる、象の鼻の形に似た漏斗(じょうご)状の激しい空気の渦巻きのことで、アメリカでは「トルネード」と呼ばれています。
台風や寒冷前線、低気圧など積乱雲が発生しやすい気象条件の時に発生しやすくなります。
つまり、大きな積乱雲に向けて、空気が渦巻きとなって巻き上げられていく現象が竜巻で、中心の方ほど風が強くなっています。
いつ、どこで、どのくらいの頻度で竜巻が発生しているの?
竜巻は夏から秋にかけて、大気が不安定になる時に起こりやすく、台風や停滞前線、気圧の谷、寒気や暖気が流れ込む時に発生しています。
「日本での1年当たりの竜巻発生確認数は、「25件(2007~2015年、海上竜巻を除く)」又は「約60件(2007~2015年、海上竜巻を含む)」
引用:気象庁ホームページより
北陸地方から東北地方にかけての日本海沿岸、関東平野、東海地方、沖縄県などの発生が多いですが、全体としては日本全国のほとんどの地域で竜巻の発生が観測されています。
竜巻被害例
平成27年までは「藤田スケール」を用いて竜巻の大きさを表していました。
翌年、平成28年度からは、より精度が良く突風の風速を細かく分類できるように、日本の状況に合わせた「日本版改良藤田スケール(JEFスケール)」が使用されています。
過去の被害例を気象庁のデータから抜粋すると、下記のようになります。
平成29年8月7日 愛知県豊橋市、豊川市 ⇒JEF2(約65m/s)
平成28年10月5日 高知県高知市、南国市 ⇒JEF2(約60m/s)
平成28年9月28日
福岡県筑後市、八女市 ⇒JEF2(約55m/s)
平成28年8月22日
岩手県奥州市 ⇒JEF2(約60m/s)
千葉県 南房総市 JEF1 風速約40m/s 幅250m 長さ0.8㎞ 負傷者1
宮城県 亘理郡亘理町 JEF1 風速約50m/s 幅330m 長さ6.6㎞
宮城県 大崎市 JEF1 風速約50m/s 幅230m 長さ2.8㎞
岩手県 奥州市 JEF2 風速約60m/s 幅460m 長さ6.0㎞
平成28年12月22日
和歌山県 日高郡印南町 JEF1 風速約50m/s 幅270m 長さ4.3㎞
竜巻の特徴・メカニズム・温暖化との関係
夏から秋、7月~11月に年間の7割にちかい竜巻が起きています。
ちょうどこの記事を書いている2019年、3月13日にも、福岡県筑後市で突風が吹き、看板が傾く被害が出たとのニュースが入ってきました。
2018年7月には筑後市に隣接する大木町を中心に400~500mの範囲でビニールハウスやフェンスが壊れる被害が出ています。
温暖化の影響で大気が極端に不安定になれば、これからはこの時期以外にも竜巻の頻度がさらに増えたり、大型化する可能性もあるかもしれません。
移動速度は平均して、時速36㎞ほどから速い場合は時速100㎞ほどで移動するので、高速道路の車が走って来るようなスピードで移動してくることになります。
竜巻は長くても数km移動して消滅します。

日本では、写真等でよく見る渦巻形の竜巻ではなく、むしろ突然の強烈な突風で物が飛ばされるといった被害を及ぼします。
竜巻は夜間より昼間に多く確認されていて、11時から18時がピークと言われます。

竜巻は猛烈な風の塊でしかも物を巻き上げて移動するので、凄まじい轟音をたてながら進むのも大きな特徴となっています。
竜巻が起こる前兆、どうすれば竜巻が来るのがわかるの?
「雷鳴が聞こえる」「かなとこ雲(コマの形、キノコの形の雲)が広がっている」など、いつもと違う雲を見かけたら注意が必要です。
「ひょうが降り出す」「真っ黒い雲が近づく」といった現象は、竜巻が近づいているときの前兆にあたります。
また、「耳鳴り」を感じたときは、気圧の変化が起こっています。

対処法 キャンプなどで屋外にいる時どうする?
鉄筋コンクリート製などの頑丈な建物、トイレや浴室等、風通しの悪い場所へ避難しましょう。
地震の場合と同じで、トイレや風呂場は一般に柱と壁が狭い範囲に集まり、構造強度が高くなっています。
近くに建物がない場合は緊急対策として深い溝などのくぼみに身をひそめてください。
深い溝などのくぼみに身をひそめたら竜巻が去るまでバッグなどで頭や身を守ってください。
つむじ風とはどう違うの?
つむじ風と竜巻は全くの別物です。
つむじ風は、積乱雲が関係して発生するものではなく、地面で発生します。

広いスペースのある場所の先に強い風が障害物にぶつかって回転し、渦の形が作り出されます。
一回の強風で作り出されるため、竜巻よりもさらに持続性がなく一瞬で消え去ります。
学校の校庭から校舎に向けて風が吹き付けてぶつかり回転することで発生し、運動会のテントやサッカーのゴールポストが倒れるといった例が多いです。

世界の竜巻多発地帯
アメリカ合衆国では、年間1000個前後の竜巻が発生し、50人程度が亡くなっています。
世界の竜巻の8割がアメリカで発生しているとする文献もあり、アメリカ中部はTornado Alley(竜巻横丁)と呼ばれているほどです。
アメリカの他には、南アジア、フィリピン、東アジア、ニュージーランド、オーストラリア西部・東部、カナダ南部、メキシコ北部、南アメリカ東部、ヨーロッパ、南部アフリカなど中緯度の温帯地方を中心に発生数が多いです。
温帯での発生が多い理由としては、亜寒帯低圧帯にあって暖気と寒気の衝突する前線で対流性降雨が多いことと、低気圧・高気圧の交互通過やジェット気流などが原因で高度によって風向風速が異なることが多いため気流の回転が生じやすいことが挙げられます。
まとめ
キャンプなどで屋外にいる場合に竜巻が起きたら、どうしたら良いのかを中心に、ここでは竜巻の発生時期、メカニズム、発生しやすい地域、 対処法について解説してきました。
日本では、竜巻が季節を問わず全国で発生していて、目視でわかる範囲までくると到達まで数分ないしは数秒なので、緊急な対応が必要です。

温暖化の影響で大気が極端に不安定になれば、竜巻の頻度がさらに増えたり、大型化する可能性もあるかもしれません。
気象庁は「竜巻注意情報」に加え、竜巻等の激しい突風が発生しやすい地域の分布と、1時間先までの予報、「竜巻発生確度ナウキャスト」を提供していますので活用してください。
参考までに、家の中にいた場合の対処法は、窓が割れないように雨戸を閉め、トイレや浴室等、風通しの悪い場所へ避難しましょう。
また、街中にいるときは頑丈な建物に入り、できる限り地下室や風が吹き込まない場所に避難してください。
また、車を運転しているときは、交通の邪魔にならない場所に駐車し、ただちに頑丈な建物内へ避難しましょう。
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佐藤和樹(Kazuki Sato)
株式会社UJackの代表取締役社長。現在26歳。
趣味はキャンプと車弄りと映画鑑賞。
本社は千葉県にあり、
キャンプ用品をメインに取り扱っている。
製品の設計や開発なども独自に手掛ける。
UJack(ユージャック)は
universal jack(世界に浸透する)を意味し、
文字通り世界中の人々にユージャッカーになってもらうことが目標。
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