春の訪れとともに、野山を歩きたくなってきますね。
野山には山菜がいろいろ芽吹いています。
しかし、知識もなく野草を摘み、間違って食べると食中毒の原因になる有毒植物があります。
今回は有毒植物について解説していきますので、正しい知識を身につけて、食中毒を防ぎましょう。
Contents
有毒植物とは
植物のなかで食料としての価値はなく、毒性の強い物質を持つものが有毒植物と呼ばれます。
触れると皮膚に炎症を起こしたり,食べると中毒して麻痺、けいれん、窒息、嘔吐などの症状を起こしたり、死亡させたりする植物もあります。
植物に含まれる毒としてはアルカロイド類が多いです。
間違って食べて被害にあった例
全国の有毒植物による被害例を見てみましょう。
いずれも初夏(4月~6月)と秋(9月~11月)に集中しています。
1.H24.4.7
函館市の家庭で、トリカブトのおひたしを食べたといいます。
山でニリンソウと誤ってトリカブトを採取し、自宅で調理して家族3名で食べたところ、全員が中毒症状を示し、うち2名が死亡しました。
40代男性および70 代男性。
吐き気、おう吐、倦怠感、意識混濁。
2.H25.10.5
熊本県の家庭でキノコの油炒めを食べて食中毒を起こし、死亡しました。
山で採取したキノコを自宅で調理し、食べたということです。
採取現場のキノコの分析結果等から、そのキノコはドクツルタケと推定されました。
70代女性。
腹痛、下痢、おう吐等。
3.H26.9.5
静岡県の家庭で、イヌサフランを食べ、死亡しました。
70代男性。
下痢、吐き気、おう吐、胃痛。
4.H27.6.11
札幌市の家庭で、イヌサフラン等のコルヒチンを含む食品を食べた可能性が高いと推定されました。
70代男性および70代女性が死亡。
5.H27.6.21
札幌市の家庭でイヌサフランを間違えて食べました。
家庭菜園で採取した球根を食べ、食中毒症状を起こし、死亡しました。
80代男性。
下痢、おう吐、多臓器不全等。
6.H27.9.22
山形県の家庭で、庭に生えていたイヌサフランの地上部を取り、そのまま生の状態で食べたものと推定され、死亡しました。
90代女性。
下痢、吐気、おう吐等。
7.H27.11
帯広市 スイセンをニラと誤食。
8.H28.4
旭川市 イヌサフランをギョウジャニンニクと誤食。
9.
下川町 バイケイソウ類をギョウジャニンニクと誤食。
10.H28.5
剣淵町 イヌサフランをギョウジャニンニクと誤食。
11.
室蘭市 スイセンをニラと誤食
12.H.29.5
南富良野町 イヌサフランをギョウジャニンニクと誤食。
13.H.30.4.22
北海道 イヌサフランを食べて被害。
14.H.30.7.12
北海道 イヌサフランを食べて被害。
参考:北海道「毒草ハンドブック」及び、厚生労働省の資料より
厚生労働省は平成20年から29年の10年間で、日本全体で188事件、食中毒患者818人、死亡した人10人と報告しています。
多いのはスイセンによるもの47件、ジャガイモ20件、バイケイソウ20件、チョウセンアサガオ17件、クワズイモ14件、イヌサフラン12件、トリカブト9件です。
参考:https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000358639.pdf
どんな植物が有毒?
ここでは日本3大有毒植物と言われるトリカブト、イヌサフラン、ドクゼリと最強の毒草といわれるドクウツギ、間違いやすく事故も多いスイセンを取り上げます。
トリカブト
古来からトリカブトの抽出成分を塗布した毒矢が、狩猟や戦いに使われてきたほど、強力な毒をもちます。
症状
トリカブトは神経毒で心臓毒でもあるアコニチンを含んでおり、その毒は即効性で、口に入ってから数十秒以内に口唇や舌のしびれに続き、手足のしびれ,嘔吐,腹痛,下痢,不整脈,血圧低下などをおこし,けいれん,呼吸不全に至って死亡します。
間違いやすい植物
ニリンソウ、ヨモギ、モミジガサ、セリ
山菜シーズンに新芽がよく似ているため、誤食による食中毒を起こすケースが増えています。
その毒性は最強クラスで、数年に1度、死亡例も出るほどです。
平成20年からの10年間で、食中毒事件は9件起き、患者数は14人で、死亡者は3人です。
参考:厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000358639.pdf
イヌサフラン
別名、コルチカムとも言い、園芸用としても売られています。
症状
嘔吐、下痢、皮膚の知覚減退、呼吸困難、最悪の場合、死に至ります。
間違いやすい植物
ギボウシ、行者にんにく(アイヌネギ)、玉ねぎ、にんにく
イヌサフランの球根は、ギボウシ・行者にんにく・玉ねぎ・にんにくと似ていることから誤食によって中毒を起こすケースが後を絶ちません。
平成20年からの10年間で、食中毒事件は12件起き、患者数は20人でしたが、死亡者は6人です。
参考:厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000358639.pdf
葉の形や球根をよく見ても、なかなか見分けがつきにくいため、コルチカムを観賞用として購入した場合は、自分・他の人・ペットなどが誤って食べてしまわないように、十分配慮してください。
また、まれに野山に自生していることがありますので、山菜採りに入る場合にも十分注意するようにしましょう。
ドクゼリ
巨体の牛を15分で殺すことができるとも言われる怖い有毒植物です。
症状
痙攣、呼吸困難、嘔吐、下痢、腹痛、眩暈、意識障害、最悪の場合、死に至ります。
間違いやすい植物
セリ、わさび
山菜のセリと全く同じ場所に混生しているため、誤食による中毒者が多く出ています。
セリ特有の香りがしないことと、ドクゼリは茎が長いのが特徴です。
初心者には見分けがつきにくいかもしれません。
有毒成分は皮膚からも浸透するので、安易に触らないようにしてください。
参考:厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000358639.pdf
ドクウツギ
日本最強の毒草、ドクウツギが持つ主な毒は、コリアミルチン、ツチンと呼ばれ、人が摂取すると呼吸困難や痙攣を引き起こし最悪の場合、死に至ります。
葉や茎も有害で、実はピンク色で美味そうであることから、昔、山間部や農村の子どもたちがドクウツギを食べ、死亡した例もあります。
スイセン
庭植えなどでもよく見かけるスイセンですが、非常に有毒です。
症状
初期の強い嘔吐症状で吐き出すので重篤化しにくいですが、死亡例があります。
間違いやすい植物
ニラ、ノビル、アサツキ、玉ねぎ
葉がスーッと伸び、ニラやアサツキの葉によく似ていることから誤食が多い植物です。
日本で誤食の件数は平成20年からの10年間で47件あり、患者数167人、死亡者1人と他の有毒植物よりも格段に多いです。
参考:厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000358639.pdf
過去にあった死亡例に、特に毒性が多い球根をあさつきと間違えて食べてしまったケースがありました。
家庭でスイセンを植える場合はニラや玉ねぎなどの食用作物からは離すようにしましょう。
他にどんな植物が有害?
以下のものはすべて有害です。
自分の住んでいるところや、行くところにある植物はありませんか?是非、植物図鑑などで調べてみてください。
キョウチクトウ
スズラン
ヒヨドリジョウゴ
フクジュソウ
ヨウシュヤマゴボウ
ヒガンバナ
イチイ
クサノオウ
ハシリドコロ
ドクニンジン
ジギタリス
タケニグサ
アセビ
キダチチョウセンアサガオ
ヒョウタンボク
バイケイソウ
コバイケイソウ
シキミ
ピラカンサ
クワズイモ
グロリオサ
予防策はただ一つ!!
食べられるか判断のつかない野草は、絶対に口にしてはいけません。
食中毒が疑われる場合の対処方法
即刻、救急車で医療機関に行き、適切な処置を受けてください。
まとめ
誤って口に入れることで時には死に至ったり、重篤な中毒症状をきたす植物について解説しました。
日ごろから有毒植物に関する知識を持っておくことで、山菜と間違えて食べてしまうなどのケースを避けることができますので、十分注意するようにしましょう。
「わからなかったら食べない!」が鉄則です!!!山菜採りはベテランに同行してもらいましょう。
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佐藤和樹(Kazuki Sato)
株式会社UJackの代表取締役社長。現在26歳。
趣味はキャンプと車弄りと映画鑑賞。
本社は千葉県にあり、
キャンプ用品をメインに取り扱っている。
製品の設計や開発なども独自に手掛ける。
UJack(ユージャック)は
universal jack(世界に浸透する)を意味し、
文字通り世界中の人々にユージャッカーになってもらうことが目標。
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