ビオトープってご存知ですか?
「ビオトープ」はドイツ語で「BIO(ビオ)」が「生きもの」、「TOP(トープ)」が「場所」という意味です。
この記事ではビオトープについて、そしてそれを管理するビオトープ管理士(民間資格)の仕事についてお伝えします。
Contents
ビオトープとは?
ビオトープとはその地域の野生生物が生息し、生育する空間、すなわち持続可能な生態系のことです。
湿地、森林、草地、砂地、湖沼、河川、岩場など、自然界の生きものが安定して生息する場所がビオトープです。
2010年に「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)」が名古屋で開催されて以降、企業や行政などが大規模なビオトープづくりに取り組む例が増えています。
学校や町内会のビオトープなどもより本格的なものとなり、地域の生態系の面的な再生を意識し、ビオトープ同士のネットワークをつくる視点も取り入れられています。
筆者は知人から滋賀県長浜市の「早崎(はやざき)ビオトープ 」に行った話を聞いたことがありますが、大変興味深い日本最大のビオトープ実験地だったそうです。
長浜市早崎町の干拓田は、昭和39年、食糧増産のため、内湖を埋め立てて作られた水田ですが、現在では豊かな自然を取り戻すため、干拓田を元の内湖に戻そうとする動きが進んでいます。
ビオトープ実験調査がはじまってから、コハクチョウが年々増え現在では滋賀県で有数の飛来地となっています。
お問い合わせ:早崎内湖再生保全協議会事務局 滋賀県琵琶湖政策課
TEL:077-528-3463
ビオトープ管理士が生まれた背景と仕事内容
1990年代までの日本は経済発展を最優先にしてきました。
そのため空気汚染をはじめ多くの環境破壊を目の当たりにしました。
何らかの対策を講じないと野生生物が絶滅する問題に直面したのです。
しかし、日本ではビオトープの概念が知られておらず、ドイツなど環境問題の先進国に学ばねばなりませんでした。
当時の建設省は河川の護岸工事が近々の課題で、ビオトープの保全事業、法整備、ビオトープ技術者の育成に力を入れました。
自然豊かで住みやすいまちづくりには、土木建築や造園などの知識に加え、生態学を含めた総合的な自然環境の知識が必要です。
ビオトープ管理士の育成は、自然と共存できる豊かなまちづくりには欠かせない課題でした。
ビオトープ管理士とは?
1992年、環境NGOである財団法人「日本生態系協会」が創設されました。
現在、ビオトープ管理士は環境省、国土交通省農林水産省など中央省庁や地方自治体などで入札条件に加えられることがあり、業者の技術力を評価する基準にもなっています。
ビオトープ管理士の資格は民間資格とはいえ、取得するには大変高度な講習を受け、難解な試験(後述)に合格しなければなりません。
「「ビオトープ管理士」は、自然と伝統が共存した美しく強靱な地域の創造を目指す技術者、端的に言えば、自然の保全・再生を任すことが出来る技術者です。
ビオトープ管理士に期待されるところは、このビオトープをいかに増やしていくのかということであり、かつ、それをまちづくりなどの広域的な視点から効果的に行うこと、となります。
また近年では、その持てる豊富な知識や技術をもって、環境教育の指導者としての役割も期待されており、現にさまざまな方面で活躍しています。」
引用:ビオトープ管理士 公式サイト|ビオトープ管理士 概要説明と活躍のようす|(公財)日本生態系協会
現在、全国で12800人のビオトープ管理士がおもに地方自治体や官庁、造園会社、土木会社、建設会社、不動産、製造、農業、環境調査機関などで働いています。
環境コンサルタントとして活躍したり、ボランティア団体に所属している人もいます。
ビオトープ管理士講習会
2019年度ビオトープ管理士セミナー(令和元年度)は、以下のように東京・大阪 の2会場で行われました。
来年度のセミナーに関してはホームページでお確かめ下さい。
実施日・会場:
東京会場 7/6(土)-7(日) TFTビル
大阪会場 7/27(土)-28(日) ハートンホール日本生命御堂筋ビル12F
受講料:
一般 25,000円
早期割引 20,000円
ビオトープ管理士試験とは?
では、次に難解と言われるビオトープ管理士の試験についてご説明しましょう。
受験資格:
- 2級: 基礎的な知識を有する技術者レベルで、受験資格は特になく、誰でも受験することができます。
- 1級: 業務担当責任者レベルで、以下を満たしている人だけが受験できます。
- 4年制大学卒業後、7年以上の実務経験者
- 短大・専門学校・高等専門学校卒業後、9年以上の実務経験者
- 高校卒業後、11年以上の実務経験者
- ビオトープ管理士2級取得後、7年以上の実務経験者
- 1級土木施工管理技士・造園施工管理技士資格所持者で、資格を取得してからの実務経験が4年以上の者
レベル:
生きものや法制度に関する知識、技術、倫理観、評価力や応用力まで、幅広い観点で総合的に審査されます。
内容は、専門性から計画部門・施工部門の2部門、さらに経験量や期待される責任の大きさから1級・2級に区分され、それらの組み合わせにより認定される資格は「1級ビオトープ計画管理士」「1級ビオトープ施工管理士」「2級ビオトープ計画管理士」「2級ビオトープ施工管理士
の4種類となります。
ビオトープ計画管理士とは地域の自然生態系の保護・保全、復元、創出の理念や野生生物等の調査技術を踏まえた広域的な地域計画(都市計画・農村計画など)のプランナーのことです。
ビオトープ施工管理士とは地域の自然生態系の保護・保全、復元、創出の理念や野生動物等の調査技術を踏まえた設計・施工にあたる事業現場担当の技術者を言います。
試験内容
2級 筆記試験:
- 共通4科目(生態学、ビオトープ論、生態系保護論、環境関連法)
- 専門科目(土地利用計画または土木・造園)
1級 筆記試験:
- 共通4科目(生態学、ビオトープ論、生態系保護論、環境関連法)
- 専門科目(土地利用計画または土木・造園)
- 実務経験に関する小論文
- 口述試験 (筆記試験合格者のみ)参考:ビオトープ管理士の資格が活用されている事例の一部/日本ビオトープ管理士会
公益財団法人 日本生態系協会とは?
日本生態系協会は、自然と伝統が共存し、持続するまちづくり・くにづくりに向けた提案を行います。
1992年に設立されました。
米国とドイツに事務所を置き、世界各国の行政やNGOと連携を図っています。
その他、こども環境管理士資格試験、全国学校・園庭ビオトープコンクールなどを実施しています。
ホームページ 公益財団法人 日本生態系協会
住所 東京都豊島区西池袋2-30-20音羽ビル
電話 03-5954-7106 (直通) FAX 03-5951-0246(直通)
まとめ
今回はビオトープ管理士について、その役割やセミナー、資格試験の内容などをみてきました。
認知度があまり高くないビオトープ管理士ですが、環境省や国土交通省、農林水産省などの中央省庁や地方自治体で、ビオトープ管理士の資格が 入札条件や技術者の評価対象として採用されています。
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佐藤和樹(Kazuki Sato)
株式会社UJackの代表取締役社長。現在26歳。
趣味はキャンプと車弄りと映画鑑賞。
本社は千葉県にあり、
キャンプ用品をメインに取り扱っている。
製品の設計や開発なども独自に手掛ける。
UJack(ユージャック)は
universal jack(世界に浸透する)を意味し、
文字通り世界中の人々にユージャッカーになってもらうことが目標。
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