今回はテンマクデザインから販売しているウッドストーブMを使用して薪ストーブ本体及び煙突の温度上昇について実験を行いました。
高温となった薪ストーブの煙突に各種テントの生地を接触させることでおよそ何度で生地が溶けるのかを検証しましたので参考にしてください。
まずは、薪ストーブについてと薪ストーブの危険性について少し説明してから検証結果もご紹介しましょう。
※多くのメーカーはテント内での火気使用を推奨しておりません、テント内で火器を使用する際は自己責任となります。
Contents
薪ストーブとは?
寒い季節のキャンプは防寒対策が重要。
いかに効率よく暖をとれるかでキャンプの楽しさも変わってきます。
暖を確保するために活躍してくれるのが薪ストーブです。
薪ストーブは鋳鉄製か鋼板製の材質で作られた、密閉の箱型で、薪を燃料とする暖房器具です。
暖炉や焚火との違いは燃焼に必要な空気を調整できるかです。
暖炉や焚火は空気の出入りが開放的ですが、薪ストーブは密閉的で小さな空気弁から燃焼に必要な空気調整します。
そのため、必要な最低限の空気量に制限し、過燃焼を防ぐので、暖炉や焚火より薪の火持ちが良いとされています。
また、薪ストーブには二次燃焼機能を持っているものがほとんどです。
一次燃焼室で発生した未燃焼ガスを二次燃焼室で再燃焼させるため、煙に含まれる煤が減り、煙突の目詰まりを軽減してくれます。
煙突は煙をテントの外に送り出すためだけでなく、ストーブの燃焼に重要な部分なんです。
煙突内部の空気が暖まってくると発生する上昇気流をドラフト呼びます。
このドラフト効果が薪ストーブの燃焼を促進し、煙をスムーズに排出させる力になります。
薪ストーブはテント内全体を効率よく温め、よりキャンプで過ごす時間を快適にしてくれます。
しかし、この薪ストーブは使い方を誤ると事故や、大事なキャンプ道具の破損に繋がります。
薪ストーブを使用するなら最大限の注意を!
薪ストーブは火を扱うものなので安全面には最大限の注意が必要です。
薪ストーブで怖いものといえば、一酸化炭素中毒です。
一酸化炭素中毒は換気が不十分な場所で火を扱う際に起こる中毒症状です。
一酸化炭素中毒の怖いところは気づかないうちに意識を失って倒れてしまう可能性があることです。
薪ストーブの煙道火炎への注意も忘れてはいけません。
煙道火災は薪ストーブの煙突の内部に固着したタールに引火し、勢いよく燃える現象です。
煙道火災を起こすと、大きな音とともに、煙突が真っ赤になって、炎を吹き上げることもあります。
この時、煙突の内部の温度は1,000℃以上を超える高熱になるといわれています。
煙突の内部の温度が1,000℃以上になると煙突付近の可燃物に着火してしまい、火事を起きる可能性があります。
そして、テントが溶けてしまう温度とは…
いよいよ、検証に移ります!
薪ストーブ 煙突の表面温度の変化
まずは薪ストーブの煙突の温度を計測しましょう。
今回使用する薪ストーブはテンマクデザイン ウッドストーブ Mサイズです。
燃料は廃材を利用。
温度計測はアマゾンで購入した放射温度計で計測していきます。
約±1度ほどの誤差で無機物の表面温度を非接触で計測できます。
煙突自体は過熱されると根本の部分から先端にかけてそれぞれ温度が変わってくると思いますので、分けて計測していきます。
ここで1つ問題が…
煙突は表面が過熱されると陽炎がでてきてしまうため、放射温度計は煙突表面ではなく、この陽炎の温度を計測しまうのです。
検証中、煙突中間部分の温度は20度を計測しましたが、手で触れられるかというと、熱くて触っていられないほどの温度でした。
人間が瞬間的に手を離してしまう温度は85度程度だといわれています。
そのため、加熱開始後は放射温度計の測定温度より50~100度程度の温度が、実際には高いもの思ってください。
- 着火前
薪ストーブ本体 18度
煙突 26度
- 着火直後
徐々に薪ストーブ自体は表面温度が上がってきました!
薪ストーブ本体 64.2度
煙突 25度
さらに加熱していくと煙突の根元の部分の表面温度も50度、130度と徐々に上がっていきます。
- 煙突の根元の部分が130度の時
煙突の中間 105度
煙突の先端 100度
薪ストーブの火力をあげると煙突の温度は何度?
ここから先は薪ストーブを加熱し続けると、どのぐらいまで温度が上がっていくのか検証したいと思います。
薪ストーブはテントの穴から煙突を出してインストールする際に、フラッシングキットと呼ばれるパーツを使用します。
このフラッシングキットは煙突を支え、熱による幕への損傷を防いで、安全に煙突を外に出してくれるパーツです。
フラッシングキットのシリコン部分の耐熱性は約300度といわれています。
ですので、煙突自体が300度を超えることがあるのか?という部分も検証していきたいと思います。
- 薪ストーブの火力最大
薪ストーブ本体 300度
煙突の根元 250度
煙突の中間 150度
煙突の先端 110度
- 薪ストーブの火力最大 2重煙突
2重煙突をつけることで表面温度はどのくらい下がるのか検証したいと思います。
先ほど150度程度であった中間あたり、煙突4つ目に2重煙突をつけました。
2重煙突真ん中 21度
ただ、検証初めにも説明したように、放射温度計は陽炎を計測してしまっているので、慎重に手で触れてみることに…
ちなみに2重煙突の上下両端に関しては100度でした。
- 煙突が赤熱
煙突赤熱部分 221度
薪ストーブでテントが溶ける温度を検証してみた!
次は上記の検証とともに行った、テントが溶ける温度について結果をご紹介していきます。
今回はUJackワンポールテントに使われている、フライシート生地ポリエステル100%とインナー生地T/Cクロス(ポリエステル65%・コットン35%混紡)で試していきたいと思います。
このフライシートは一般的なテントに使われているフライシートと同じで、難燃性加工がされておらず、撥水ウレタン加工のみとなっています。
- 煙突の根元 50度
- 煙突の根元 130度
穴はあきませんでしたが、生地が薄くなり溶けていることがわかります。
- 薪ストーブの火力最大 2重煙突
煙突温度の検証では21度だった、2重煙突真ん中部分ですがテント生地は溶けるんでしょうか。
今回の検証は薪ストーブの種類や大きさ、燃料によって変化する可能性がありますのであくまでも参考程度にしてください。
まとめ
いかがでしたか?
今回は薪ストーブの煙突温度、テントが溶ける温度について検証結果をご紹介しました。
薪ストーブの危険性を知り、煙突温度変化について知ることで事故やテントの破損を防ぐことに繋がります。
繰り返しになりますが、薪ストーブをインストールすることはメーカーは推奨しておりませんので、あくまで自己責任になります。
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佐藤和樹(Kazuki Sato)
株式会社UJackの代表取締役社長。現在26歳。
趣味はキャンプと車弄りと映画鑑賞。
本社は千葉県にあり、
キャンプ用品をメインに取り扱っている。
製品の設計や開発なども独自に手掛ける。
UJack(ユージャック)は
universal jack(世界に浸透する)を意味し、
文字通り世界中の人々にユージャッカーになってもらうことが目標。
あなたのアウトドアライフにさらなる”喜び”を。
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