アマゾン火災はその後どうなった? 誰の役にも立たない森林伐採!!動植物への影響と気候変動について

未曽有のアマゾン森林火災はその後どうなったのでしょうか?
アマゾンはいまも燃え続け、煙が立ちのぼり、炭の微粒子が地面に降り積もっています。
最新の集計では、ブラジルのアマゾン火災は9万3000件を超え、昨年の同時期より60%以上も増加しました。
(ブラジル国立宇宙研究所INPE)アマゾンには、膨大な種類と数の野生生物が生息し、森林火災がそれらに対して及ぼす影響は計り知れません。
この記事ではアマゾン火災が動植物へ及ぼす短期的な影響、そして長期的に気象に及ぼす影響をお伝えします。
アマゾン火災の原因を突き止め、先住民の知恵を古生態学から学ぶと対処方法が見えてきます。

アマゾン森林火災の原因は森林伐採

アマゾン森林火災のほとんどは人災で、その多くは、以前切り開いた土地に新たに生えてきた邪魔な草木を、手っ取り早く焼き払うために火を放ったものです。
その他、農地や牧場用の土地を増やすため、開拓中の土地に火をつけることもあります。

これまでブラジルでは森林と農地の管理方法が厳しく、年間の森林伐採は2012年までに、1995年〜2006年の平均より約80%も減少していました。
しかし、2018年、アマゾンにおける農業の拡大と、さらなる開発の推進を公約に掲げたジャイル・ボルソナロ氏が新大統領に選出され、森林伐採が再び急増しました。

やまひつじ
アマゾン火災は人災です。
ボルソナロ大統領が、アマゾンの管理を緩くしたのが原因なのです。
ブラジルはもともと、遺伝子組み換えサトウキビや大豆の生産量増大のために農地拡大を目的に森林伐採を進めていましたが、ボルソナロ大統領が就任してから伐採ペースが加速しました。

現地メディアによると、大統領はもとより、アマゾンを産業発展に利用するべきだとの考えが強く、ボルソナルが大統領についてからは開発業者が一斉にアマゾンにやってくるようになったのです。
開発過程で伐採した木などを燃やす作業があり、これが十分管理されなかったため火災が多発したのです。

なぜアマゾン川流域が動植物にとって重要なの?

アマゾンの熱帯雨林には地球上にいる生物種の十分の一が生息するといいます。
今回のように大規模な森林火災が一斉に発生し、ボリビア、パラグアイ、ペルーにまで燃え広がったことは、私たちを驚愕させました。
専門家は「アマゾンの熱帯雨林がなくなれば、99%の種が失われる」と言います。

社長
動植物への影響が危惧されますね。
WWFインターナショナル(スイス)は悲痛な声明をだし、この生態学的な危機に対しブラジル、ボリビア、コロンビア、ペルー、エクアドル、ベネズエラ、ガイアナ、スリナムといった国と地域に対し、アマゾンを保全し、森林破壊と戦い、火災の原因を減らすよう呼びかけています。

アマゾン火災、動植物への影響

火災が生物多様性に及ぼす直接的な影響としては、ジャガーのようにアマゾンの森林に生息する多くの動植物が焼け死に、さらには、その生息場所が失われてしまいます。
森林火災は、森林破壊から始まる人間の行動によって引き起こされます。
「アマゾンの生物は火事に適応していません」と、ブラジルのマナウス市にある国立アマゾン研究所(INPA)の研究者で生物多様性モニタリングを専門とするウィリアム・マグナスン氏は言います。

ブラジル、サンパウロ大学高等研究院の気候学者カルロス・ノブレ氏は、「アマゾンは、南米の降雨サイクルの安定化に重要な役割を果たしていて、先住民や無数の動植物にとっては、替えのきかない家でもあるのです。
アマゾンは、地上で最高の生物多様性を誇る生態系です。
その豊かさが、気候変動と森林破壊により危機にひんしているのです」と述べました。

参考:「未曽有のアマゾン森林火災、動物への影響は」

ブラジルのマナウス市にある国立アマゾン研究所(INPA)の研究者で生物多様性モニタリングを専門とするウィリアム・マグナスン氏はアマゾンの生物は火事に適応していないと言います。

アマゾンの熱帯雨林がこれほどの豊かさと多様性をもつのは、火災らしい火災がなかったからなのです。
森林は自然に発火することもありますが、普通は小規模で終わり、地面の近くが焼けるだけだそうです。
それに、この地域は雨が多いためすぐに消えてしまうのです。

National Geographic ニュース

気候変動への影響

ブラジル、サンパウロ大学高等研究院の気候学者、カルロス・ノブレ氏らは、さらに破壊が続けばアマゾン熱帯雨林は回復不能点に達し、熱帯雨林からサバンナへと変貌する枯死サイクルに入ってしまうのではないかと懸念しています。
すでにアマゾン熱帯雨林全体の15~17%が破壊され、もし回復不能点に達した場合、30~50年かけて枯死が進み、その過程で2000億トンの二酸化炭素が大気中に放出されると言います。
そうなれば、気候変動による最も破壊的な影響を回避するための、気温上昇を摂氏1.5~2度以内に収めるという世界的な目標を達成することははるかに難しくなります。

古生態学が教えてくれること―先住民は焼き畑で広大な地域を厳しく管理していた

古生態学という古代の環境を研究する学問をご存知ですか?
アマゾンの先住民がどのように火を使ってきたか、その火が長年にわたり森の生態系にどのような影響を及ぼしたか、そして、現在の火災を防止するにはどうすればよいかなど、非常に役立つ先住民の教訓を研究する学問です。

アマゾンの湖底や土壌からサンプルを採取し、木が燃えた後に堆積する炭の小さな欠片を調べた古生態学の研究をご紹介しましょう。
研究チームは湖底の堆積層のコア試料(柱状採取した試料)を掘削し、放射性炭素を分析して木が燃えた年代を測定しました。

この数千年の記録からまずわかるのは、アマゾンには実質的に自然火災がないことだと、米フロリダ工科大学の古生態学教授のマーク・ブッシュ氏は言います。
熱帯雨林の地下の炭の層を調べたた結果、アマゾンの先住民たちが何千年もの間、焼き畑農業をしていたことがわかりました。
さらに、焼き畑の結果、アマゾン地域は燃えやすい森になっていることもわかりました。

しかし先住民は決して今のように森を完全に焼いてしまうことはせず、生きた木が残るように火を使っていたのです。
先住民たちは堆肥や廃棄物、炭を組み合わせて、痩せていた土を改良し、非常に肥沃な土壌を作り上げたのです。

やまひつじ
焼き畑は日本でも阿蘇・秋吉台などで毎年行われますよね。
灰が中和剤や肥料となり、土壌が改良されます。
日本でも縄文時代から行われていました。

まとめ

アマゾン熱帯雨林の面積は、日本の約15倍、550万平方キロメートルもあります。
9つの国と地域にまたがっていて、その6割がブラジルにあります。
その世界最大の熱帯雨林は、CO2を吸収するため、地球温暖化の緩和に大変重要です。
また、アマゾンには300万種もの動植物が生息し、100万人の先住民族が暮らしています。
最も懸念することは、森林伐採による火災が、健全な自然の森に燃え広がってしまうことです。
古生態学の研究が教えてくれるアマゾンの先住民の焼き畑農業の知恵、森林管理の知恵の中に現在の火災への対処法が隠されているのではないでしょうか。

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Kazuki

佐藤和樹(Kazuki Sato) 株式会社UJackの代表取締役社長。現在26歳。 趣味はキャンプと車弄りと映画鑑賞。 本社は千葉県にあり、 キャンプ用品をメインに取り扱っている。 製品の設計や開発なども独自に手掛ける。 UJack(ユージャック)は universal jack(世界に浸透する)を意味し、 文字通り世界中の人々にユージャッカーになってもらうことが目標。 あなたのアウトドアライフにさらなる”喜び”を。 Twitter、インスタグラム、Youtubeなどでも活動中!