本日はあなたの考えたキャンプ道具を製品化する方法ということでキャンプ用品メーカーの目線から書いていきたいと思います。
Contents
- 1 キャンプ道具を作る目的は自己使用か量産か?
- 2 あなたのアイディアはハイテクか、ローテクか
- 3 大きい製品より小さい製品の方が作りやすい
- 4 設計図や仕様書、3Dモデリングなどでアイディアを煮詰めよう
- 5 原案をもとにサンプルを作ってくれる工場を探す
- 6 金型が必要な製品は生産コストが跳ね上がる可能性がある
- 7 完成したサンプルを元に量産化してみる
- 8 自分で作った商品はどうやって販売するのか?
- 9 日本で作るのと中国で作る場合の生産コストに差はあるのか?
- 10 個人で初めてキャンプ道具を作るならOEMによる生産がおすすめ
- 11 UJack(ユージャック)でキャンプ用品のOEMまたはコラボレーション商品を作れます!
- 12 まとめ
キャンプ道具を作る目的は自己使用か量産か?
まず大前提として作る目的についてお伺いします。
目的が自己使用ということであればホームセンターなどから買ってきた部材などでお好きなキャンプ道具を設計して作ってみれば良いです。
でもおそらくあなたはこの記事に「キャンプ道具」「製品化」「作り方」などのキーワードで来ていると思うので今日はガチの生産工程について書いていきたいと思います。
したがって本日はキャンプ道具を個人で企画設計し、量産することを目的とした流れで書き進めます。
あなたのアイディアはハイテクか、ローテクか
個人規模で量産体制まで持っていくにはハイテク製品の量産化はまずかなり難しいです。
というよりコストが甚大です。
主にハイテク製品というのは電気を使用するものですね。
キャンプ用品に絞るのであればLEDランタンとかそういったものが該当してくるかと思います。
逆に考えるとキャンプ道具ってアナログなものばかりなのでほとんどの製品は個人でも製品化できるんじゃないかと考えられます。
大きい製品より小さい製品の方が作りやすい
あと最初に考えるべきものとして、
例えばテントのような大きな製品を個人でいきなり量産化するなどというのはハードルが少し高いですね。
つまり工数がかかる製品はそれだけ1個あたりに掛かる単価が上がるのでロット生産になった時にやはり300~500万くらいの資金が必要になってきます。
因みに1つのテントをゼロベースで作るコストもだいたいそのくらいからになります。
なので個人で新しく製品を作るならば10~100万円くらいの投資を最初に考えて低単価小ロットの生産が目指せるもので企画すると良いでしょう。
そうなってくると例えば焚火台とかバーベキューコンロとかマグカップとかそのあたりになってきますかね。
設計図や仕様書、3Dモデリングなどでアイディアを煮詰めよう
とりあえず作りたい商品やあなたが思い描いたものが決まったらまずは適当にデザインに起こしてみましょう。
もちろん専門の知識などはないでしょうからとにかく絵に描いた餅を作ることから始めます。
どうしても作画が難しければフリーの3Dソフトなどを少し勉強して形から入ってみてもよいと思います。
筆者が個人的に作ったテント用のおもり(3Dデザイン)の原画
筆者は絵が上手とはいえないのでざっくりとした全容を確かめるためにこんなかんじの3Dソフトを使って形を作ってみたりしてます。
後はこれらのデザインに対して各部の寸法や材質の選定、表面加工や細部の仕様を書き加えていきます。
こうしていくと今までふわっとしていたイメージが自分の中でしっかりしたものに変わってくるのでそれを元に2度3度同じことを繰り返しながら仕様書を作っていくのです。
もちろん仕様書と言っても業者のようなクオリティーがないとだめなわけではありません。
というのも車だって毎年各社からコンセプトモデルが発表されていますが、
どれひとつとしてコンセプトモデルどおりのかたちで量産化されていないですよね?
それっていうのは量産化するうえで現実的に不可能なデザインだったり、
コストがかかり過ぎたりするから量産前のサンプル制作の段階で修正されていくのです。
ただ寸法が曖昧だったりすると次のサンプル制作の工程が進められなくなりますのでこのあたりははっきりしておかないとダメです。
原案をもとにサンプルを作ってくれる工場を探す
もしその製品が比較的簡単な設計であるならば、まず最初の方法として自分でサンプルを製作するという方法があります。
もちろん作るにあたって様々な工具や部材が必要となってきますのでホームセンターやネットの力を借りて進捗させることになります。
また溶接などの工程を踏む場合は溶接の免許が必要になったりしますのでその辺も事前に用意するようにしましょう。
工場を探す場合にも、工場によってできる加工と出来ない加工があります。
例えば溶接が必要な製品をプレスの工場に持って行っても製作することはできません。
中にはサンプル制作を一貫して行っている、という触れ込みの工場も探せばたくさんあるのですが、
あれは工場から工場へ下請けとして加工の一部を業者間で依頼するのでその分運送費やマージンが上乗せされたりするので最終製品単価が高くなる場合がほとんどです。
単純なサンプル制作の場合だけであればそれでも良いのですが基本的には加工種別毎に工場を一つずつ探して依頼を行うのがベストです。
工場を探すにはものづくり展示会や地元の商工会議所、インターネットなどで産業別に照会をすると結構ヒットしますので最初は特に片っ端から声を掛けたりする必要がでてきます。
中には素人だというだけで門前払いされてしまうケースも少なくないですが意外と取り入ってくれるところもあるものです。
大事なのはターゲットコスト(商品の製造単価)と予算、そして量産時のロットを最初にはっきりと伝えることです。
これが曖昧だったりするとお互いに後味悪い思いをするほか、時間を浪費することになります。
金型が必要な製品は生産コストが跳ね上がる可能性がある
ものづくりをするうえで一番の問題点はたぶんここにあると筆者は考えます。
どんな製品でもモノのかたちを作るためにはパーツごとに金型を作る必要があります。
例えば弊社で販売しているハンマーランタンスタンド(ダブルフリー)を例に挙げてみると、
支柱の部分は切削加工や研磨、溶接などで製作することができますが、ゴムキャップやロゴ、フックの形状を作る部分には全て型が存在します。
ロゴを一つ入れる場合でもレーザーロゴならデザイン設計だけで済むけど、プレスロゴならその金型が必要になったりします。
そしてこれらの金型の費用が馬鹿高いのです。
ロゴのプレス用型なら10~20万円くらいで上がる場合もありますが、
鋳型などになると200万円を超えるケースも少なくなく、
複雑な設計になれば型代だけで1000万円を超えるケースもあります。
ロット生産の段階でこれらを単価に組み込んで計算する場合や型代を別として計算する場合もあるのでこのあたりは打ち合わせの段階でしっかりすり合わせの必要があります。
ただこの金型も海外で生産をすると1/3くらいに費用を圧縮出来たりもします、
もちろんクオリティーが下がるリスクもあるのでその辺は事前の下調べも必要となりますが。
またサンプルを製作するにあたって最初から金型が必要になってしまう場合と、
金型なしで作って量産時には金型で対応するといった場合もあります。
これは商品によって全く異なってくるのでそのアイディアをベースに実際に進めてみないとなんとも言えないですね。
完成したサンプルを元に量産化してみる
サンプルを実際に完成させてみると、
これまで想像することができなかった製品上の欠点や改善点などが多数見えてくると思います。
これには強度や耐久性なども含めて考えてみる必要があります。
あと最も大事な部分は商品としての安全性です。
ここに欠陥があると販売後にリコールなどのトラブルにつながる恐れもあります。
全ての条件がクリアできていれば晴れて量産化に向けた話し合いを進めることができます。
通常はサンプルを製作してくれた工場にオーダーすることとは思いますが、
サンプル受注しかしない工場にお願いしていた場合は紹介を受けた生産工場や別に探した工場とさらなる打ち合わせをしていくこととなります。
ロット生産(量産)ではMOQ(注文最小数量)からの生産をしていくこととなるとは思いますがこちらも単価や最終仕様のすり合わせをしっかりと行ったうえでGOを掛けましょう。
自分で作った商品はどうやって販売するのか?
量産しても売らなければ意味がありませんね。ではどこで売るのか?
今の時代、販路はいくらでもあります。
- お店
- 問屋
- 商社
- 通販
- カタログ
- ネットショップ
- SNS
- 行商
- 展示会
上は一例になりますが、ここも自力で開拓の必要があります。
最も手軽なのはネットショップ、中でもAmazon、楽天、ヤフーなのでマーケットプレイスでの販売はとても簡単ですが、
競合他社も多く売り上げを作り続けるのはかなりしんどいかもしれないですね。
日本で作るのと中国で作る場合の生産コストに差はあるのか?
これは昔からというより誰もが知っていることとして中国で作ると安いけど品質が悪いという問題。
まず生産コストの差ですが、
これはあります。
生産ロットの部分だけで考えると日本も中国もあまり大差はないのですが、
仕上がり単価はやはり中国の方が安いのが現状です。
ただし中国に発注をする場合でも品質の高い工場などはあまり日本で作る場合とコストは変わらなくなってきます。
あとは上でも書いたように型代が圧倒的に中国のほうが安いイメージがあります。
いずれにしても海外に生産を委託する場合にはいくつか超えなければならない壁もあります。
- 言葉の壁
- 物流
- 送金
最近では代行会社なども多くなってきていますが中間マージンも大きく、少数小ロットならそんなに恩恵はないかもしれません。
個人で初めてキャンプ道具を作るならOEMによる生産がおすすめ
とりあえずやってみたいとか、なんでもいいから作ってみたいならOEMがおすすめです。
OEMというのは簡単にいえば既存の製品の名前(またはロゴ)だけを変更して販売する手法ですので、
ゼロベースで商品を開発するより圧倒的に金銭的、時間的コストがいらずに始められます。
また基本的にMOQも低く設定されている場合も多いので手軽に始めたいのならこれが一番おすすめです。
そして端的にOEMといっても製品の仕様を多少変更したりなどのオリジナリティーを追求することも可能です。
ただしそれは生産元が承認した場合や設計上の要件などをクリアできた場合に限られてしまいます。
OEMは生産元にとっても自社の生産ラインに上乗せ/一部変更を加えるだけで手軽に行えるというメリットがありますので多少のロットさえ確保できれば双方にメリットがあると言えます。
いずれにしてもブランド名を変えて販売する場合はコラボモデルとは違ってある意味では自社のブランド商品として販売を行うことになりますので出来るかできないかはメーカー次第といったところでしょうか。
UJack(ユージャック)でキャンプ用品のOEMまたはコラボレーション商品を作れます!
弊社では各種OEMとコラボレーション商品の生産を承っています。
仕様を大きく変更する必要がある場合はほぼ正規の場合と変わらないロットを確保していただく必要が出てきますが、
単純なロゴの張り替え(変更)などといった感じであれば概ね50~100個程度から生産を承れます。
製品価格とは別にロゴの製版代などが別途2~10万円程度かかる場合がありますが、
製品や技法によって変わりますのでこちらはお問い合わせください。
納期は弊社の生産タイミングによって異なりますのでこちらは3か月から6か月くらいを見てもらうことになると思います。
それと弊社ではコラボレーション製品の生産も承っています。
実際に過去にコラボテントを作った事例
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SUBLIME〒712-8051 岡山県倉敷市中畝7-2-31TEL:086-441-9586
まとめ
- 作る目的を明確に
- ハイテクよりローテク、大物より小物を最初に作ろう
- 作図、3Dモデリングを駆使して原案を起こせ
- 原案をもとに作ってくれる工場を探してサンプルを作ろう
- 完成度を高めて量産化をして販路を開拓しよう
- 手軽に始めるならOEM/コラボ商品を企画してみよう
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佐藤和樹(Kazuki Sato)
株式会社UJackの代表取締役社長。現在26歳。
趣味はキャンプと車弄りと映画鑑賞。
本社は千葉県にあり、
キャンプ用品をメインに取り扱っている。
製品の設計や開発なども独自に手掛ける。
UJack(ユージャック)は
universal jack(世界に浸透する)を意味し、
文字通り世界中の人々にユージャッカーになってもらうことが目標。
あなたのアウトドアライフにさらなる”喜び”を。
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