キャンパーを悩ませる「結露」を知ってびしょぬれを防ぐ!

 ある程度場数を踏んだキャンパーなら1度は経験したことがあるであろう「結露」の問題。
朝起きたらシュラフや荷物がびしょ濡れ…という苦い経験が筆者にもあります。
結露の仕組みを知ったうえで、自分に合った対策方法を考えていきましょう。

結露の仕組み


 喫茶店で冷たい飲み物を頼んだとき、グラスが濡れていることがありますね。
また、冬場に窓ガラスが曇って外が見えなくなってしまうことも。
これらは全て、結露が原因になっています。

空気中には常に「水蒸気」が含まれており、それらは目には見えませんが「湿度」という形で数値にすることができます。
結露が起こるメカニズムとして重要なのは、「温度の変化」です。
もともと水蒸気を含んでいた空気が冷やされると、その一部が水になってしまいます。

これは水を熱したら水蒸気になる事とは逆の現象が起きていると考えるとイメージしやすいかもしれません。
冷たい飲み物も、外が寒い冬場の窓も、温かく水蒸気を含んだ空気が冷やされて水になっていると説明することができます。

さて、テント内で結露が起こる仕組みも同じことが言えます。
テントの中には「人間」という言わば加湿器がある状態で、常に暖かな水蒸気を含む空気を排出しています。
その空気がテント内を満たし、夜の空気で冷やされたフライシートやインナーテントに接することで水滴が生まれるというメカニズムです。

結露対策の基本


 結露が起こる原因を排除することが結露対策の基本です。
湿度があって、気温差があって、水蒸気が停滞している状態で結露が発生するのであれば、どれか一つでも取り除くと改善される可能性が高いのです。

湿度を下げる


 結露の材料である水蒸気は湿度と連動しているため、湿度を下げることで結露の材料を減らうことで、結露そのものができにくくなります。
空気中の水蒸気量と気温の関係で結露が発生するかどうかが分かりますので、厳密に湿度がどれくらいで結露になるかというのは分かりません。

 とにかく除湿をすれば可能性は下がる!ということでインナーテントに除湿シートをぶら下げる強硬派もいます。
もちろん効果はゼロではありませんが、そもそもが屋外なので抜本的な解決にはなりづらいですね。
  

温度差をなくす


 外が寒くて中が温かいのであれば、その温度差をゼロに近づけることが出来れば理論上、結露は発生しないことになります。
当然屋外の気温はどうしようもないので、テント内を寒くするほかありませんが、それでは凍えて死んでしまいます。

とはいえ、効果的な方法ではあるので、シュラフや湯たんぽなど、テント全体を温めない方法で暖をとりながら就寝するという方法は十分効果的です。
人間自体が温度を持っているので完全に温度差をなくすことはできませんが、熱を閉じ込めることで効率的に温まり、結露も防ぐことが出来るので一石二鳥です。

空気を対流させる


 氷点下でも海の水が凍りにくいように、常に動いているものはなかなか状態変化がし辛いもの。
水蒸気を含んだ空気についても同様で、常に対流させておけば水滴になるのを防ぐことが出来ます。

ピンポイントで対流させるのではなく、空間全体の空気を動かさないといけないので簡単ではありませんが、こちらも結露対策の中では効率的な方法です。

オススメ結露対策


 結露の仕組みと基本的な対策方法が分かったところで、具体的な結露対策を紹介してまいります。
ここまで真面目に読んでいただいた方なら納得していただけるはずです。

寒くても窓を開ける


 もっとも原始的な方法ですが、テントの窓を開けてメッシュにしてしまえばかなり結露を和らげることが可能です。
寝室が外とつながることで、寝室内にこもっていた水蒸気が少なからず外へ出てくれるので原因を取り除くことが可能です。
また、外気を取り込むことで自然と中と外の気温差が埋まり、結露が起きやすい環境を避けます。
さらに、多少なり風が入ってきますので、空気の対流も起こります。

欠点といえば寒くて寝られないという点ですが、先ほど触れたように湯たんぽや電気毛布、カイロを活用して部屋全体を温めずに熱を閉じ込めましょう。
シュラフもきちんと温度に合ったものを使用し、できればマミー型の物であれば頭も温かくすることが出来ます。
露出している顔はマスクなどで保護すると随分と違いますよ。

サーキュレーターで空気を循環


 夏場は暑さを軽減するために活躍するサーキュレーターですが、冬場はテント内の空気を対流させるのに一役買ってくれます。
できれば首振り機能があったほうがまんべんなく空気を対流させてくれるので効果的ですが、なくても十分効果はあります。

コツとしては、下から上に向けて、空間の多き所に風を送りましょう。
目に見えないのでいまいちわからないのですが、動かす空気が大きいほどその隣の空気も動いてくれますので、結果的に最も効率のいい空気の動かし方になります。

また、窓が開いているときは、窓と反対側に風を送りましょう。
窓に向かって風が動くと空気の動きが打ち消し合ってかえって逆効果になってしまいますのでご注意を。

セラミックヒーターをつかう


 電源付きサイト限定ですが、セラミックヒーターは隠れた名選手なんです。
セラミックヒーターのデメリットに、暖房器具にしてはそこまで温まらない、空気が乾燥する、というものがあります。
お気づきの方も多いかと思いますが、このデメリットはキャンプの結露対策にとってはメリットになるのです。

セラミックヒーターは電気で熱を発生させる仕組みのため、そこまでの熱量がありませんがかえって温度差を広げすぎないという結露対策の面からするとちょうどいい暖房器具。
また、空気が乾燥するということは、人間から発生する水蒸気由来の湿度も下げてくれることから、結露を発生させにくい環境を作り出すことが出来るのです。

基本的には大丈夫ですが、万が一フライシートに熱風が当たり続けるようなことがあるとテント生地が溶けてしまうことも考えられるので、取り扱いには十分注意をしてください。

コットン/ポリコットンテントをつかう


 コットン素材やポリコットン、テクニカルコットンと呼ばれるコットン混素材を用いたテントはポリエステルなど化学繊維オンリーのテントと比べて透湿性能が高いといわれています。
もともとコットン素材などは目で確認できないほどの隙間があり、そこから湿度を伴った空気が抜けていく仕組みになっています。
それでは雨が降ったら雨漏りするような気がしますが、表面張力とコットンが水を含んで膨らむ関係で基本的に雨漏りすることはありません。

また、生地が厚いことから熱を遮断しやすく、コットンならではの優しい風合いは日本のキャンプシーンにマッチしているということもあり、ノルディスクをはじめ、テンティピやローベンスといった海外のテントも人気が出てきていますね。
コットンテントは非常に重たいのがネックで、雨に濡れると水を含んで信じられないくらい重くなってしまうので、天気によって使い分けたり、プロテクターを被せるなどして対策をとる必要があります。

まとめ


 結露の仕組みや対策方法はまるで理科の授業のようで、以下にもお勉強という内容になってしまいましたが、キャンプをするにはこういった知識も最低限頭に入れておく必要があります。
仕組みさえ理解していれば対策も容易ですし、また結露が起こったとしても原因が特定しやすくなりますので、しっかり頭にたたき込んでおきましょう!


ABOUTこの記事をかいた人

Kazuki

佐藤和樹(Kazuki Sato) 株式会社UJackの代表取締役社長。現在26歳。 趣味はキャンプと車弄りと映画鑑賞。 本社は千葉県にあり、 キャンプ用品をメインに取り扱っている。 製品の設計や開発なども独自に手掛ける。 UJack(ユージャック)は universal jack(世界に浸透する)を意味し、 文字通り世界中の人々にユージャッカーになってもらうことが目標。 あなたのアウトドアライフにさらなる”喜び”を。 Twitter、インスタグラム、Youtubeなどでも活動中!