「アウトドアは子どもを花粉症にさせない」キャンプは花粉症対策におすすめかも

つらい花粉症の季節がまたやってきました。
自分が花粉症に悩まされている親ほど、「絶対我が子を花粉症にしたくない」と願いますよね。
末っ子に花粉症が少ないのはなぜだと思いますか?
また、「きれい好き過ぎる」日本人は花粉症になりやすいんですって!!
ここでは「衛生仮説」について、そして最新の研究で判っている、子どもを花粉症から遠ざける方法をご説明します。

衛生仮説とは

「環境が清潔すぎると、アレルギー疾患が増える
という衛生状態が関与する仮説のことを衛生仮説といいます。

ちょっと衛生仮説の歴史をみてみましょう。
1958年に英国のストラチャンが新生児、約1万7千人を対象にアレルギーの発症に何が影響を及ぼすか、追跡調査と分析を行いました。

その結果、兄や姉のいる弟妹ほど、アレルギーにかかりにくいことが判明しました。
その理由として、末っ子は兄や姉から細菌やウイルスをもらうが、長男長女はそうしたことがない清潔な環境で育ったからだとストラチャンは考えたのです。
そして1989年、彼は「衛生的であることがアレルギーの発症原因になる」という衛生仮説(Hygiene Hypothesis)を提唱し、大変話題になりました。

その後、衛生仮説を裏付ける重要な研究発表が2004年、ドイツで発表されました。
それは、乳幼児期にエンドトキシンにさらされた量が、それ以後の花粉症やぜんそくの発症に密接に関係しているというものです。

アウトドアと花粉症予防の関係は?

エンドトキシンが花粉症を抑えるということですが、エンドトキシンって何なのでしょう?

エンドトキシンとは、非衛生環境の指標として測定される細菌由来の物質のことです。
すなわち、細菌毒素の一種でLPSとも呼ばれます。

牧場などエンドトキシンの量が多い環境で育った人は、花粉症などのアレルギー疾患が最大で5分の1程度に抑えられるそうです。
アウトドアでは望まなくても、手足や体が汚れてしまうことは、読者の皆さんもよくご存知ですよね。

やまひつじ
要は汚れに対してあまり神経質にならなくても良いということですね。

日本で最初にスギ花粉症が報告されたのは1963年です。
それから半世紀余りで、国民の約40%が花粉症といわれる国民病になりました。
世界的に見ても日本の花粉症患者数は突出して多いです。

では、海外はどうでしょうか。
米国は5〜10%で、ほとんどがブタクサの花粉とされます。
カナダはカバノキ科の花粉症が多く20%、トルコやオーストラリアが10〜20%です。

こうしてみると、日本の40% は異常ですね。
対策としては、子育てで清潔にこだわりすぎないとか、アレルギー体質の成人は害のない程度に非衛生的な環境の生活で体質を改善するといったことが考えられます。

社長
まさに、アウトドア、特にキャンプは最適と言えます。

衛生仮説に基づいたアレルギー疾患の予防方法

衛生仮説は全てのアレルギー疾患に当てはまるわけではなく、花粉症や小学生以降に発症する喘息などにあてはまります。

アレルギー疾患を予防するため、衛生仮説に基づいた対策を自らが行っている医師をご紹介します。
東京医科歯科大学の藤田紘一郎教授は、腸の中にサナダムシという寄生虫をわざと飼っている先生で有名ですね。

藤田教授は面白い提案をし、奨励しているそうです。
床に落ちたものを食べたり、足の指をなめたりすることですが、読者が自分の生活にも取り入れるか否かはお任せしましょう。

なぜきれい好きは花粉症を生むの??

ここまで述べてきたように、生活の中から細菌を排除しすぎるとアレルギー疾患にかかる可能性が高くなることがわかりました。

花粉症が現れるのは小学校に入ったころと言われますが、特に、幼少期の生活環境は将来のアレルギー疾患に影響します。
そのため、幼少期には過度に除菌されたものを使うと免疫力を高めることが阻害されるのです。

それまでの間に、どんどん外遊び、泥んこ遊び、ハイキング、牧場や動物園などに連れていきましょう。
そして、キャンプにももちろん! 家で犬や猫などのペットを飼うこともよいそうです。

少し、難しくなりますが、国立成育医療センターの加藤研究員らの研究成果をご紹介しましょう。
エンドトキシンを実験動物に注射すると 抗アレルギー作用以外に、発熱、炎症、臓器障害などの好ましくない作用もおきてしまったそうです。
LBPという蛋白質と結合している場合に限って、エンドトキシンがアレルギーを抑えるTh1細胞を刺激する必要最小限のインターフェロンβを免疫細胞より分泌させることを加藤研究員らは突きとめたのです。

「LBPと結合していないエンドトキシンやLBP単独ではこの作用はありませんでした。
したがって、炎症や発熱を起こさない様なエンドトキシンの構造部分とLBPとの結合物は、将来的なアレルギーワクチン候補として有望である可能性があります。

引用:Kato A, Ogasawara T, Homma T, Saito H, Matsumoto K: lipopolysaccharide-binding protein critically regulates lipopolysaccharide-induced IFN-a/b signaling pathway in human monocytes. J Immunol. 2004 ;172(10):6185-6194. (Abstract/Full Text) (Supplementary Data)」

アーミッシュの人たちは誰も花粉症になっていない

 

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興味深い例をもう一つご紹介します。
米国ペンシルバニア州にはアーミッシュというドイツからの移民集団が住んでいます。
一切のテクノロジーを拒否して素朴な農民の暮らしを選んだ人たちですが、アーミッシュの人たちは花粉症はもちろん喘息の発症率が大変低いことが明らかになりました。

アーミッシュの家族や子どもたちの移動手段は今でも馬車で、農場で飼っているウマ、ブタ、ウシ、ヒツジの世話を日常的にします。
赤ちゃんのときも、両親が農場で働くあいだ背負われていることが多いです。
食べ物は農薬とは無縁の野菜中心です。

アーミッシュは化粧をせず、男女とも子どもの時から黒い地味な服装で、質素に暮らしています。
まさに、ナチュラルそのものです。

やまひつじ
このような生活の中に、日本の子どもを花粉症から遠ざける方法のヒントがありそうですね。

最後に、ジャック・ギルバート、シカゴ大学外科学教授とロブ・ナイト、カリフォルニア大学サンディエゴ校、小児科学教授の著書『子どもの人生は「腸」で決まる: 3歳までにやっておきたい最強の免疫力の育て方』をご紹介しましょう。

その中で、著者は「動物が持つ広範な細菌種にさらされて育った子どもは、これらの細菌によって免疫が訓練される」と指摘しています。
そして、人の体はいい菌である常在菌がたくさん住むことによって、悪い菌の感染から守られてもいると言います。

「土、泥、粗土、ほこり、そこにあるもの何でも楽しませてあげる。
干し草の中に寝転がってもいい。

おわりに

ここでは衛生仮説についてご説明し、「町で育った子どもと比べて、牧場で育った子どもは花粉症や喘息になる確率が半分~3分の1少ない」という研究結果についてご紹介しました。

日本はどの国よりも格段に花粉症患者が多いことに驚きます。
確かに日本は潔癖症ともいえるほどきれい好きな環境が整っていますよね。

公衆トイレには便座除菌のスプレーや、手を洗った後にはアルコールスプレーが置いてあります。
食後はマウスウオッシュで殺菌うがいをしたり、赤ちゃんの手指をウエットティッシュで拭いたりします。

世界各国をみてもこのような国は少ないのです。
私たちは少し生活を見直すべき時かもしれませんね。

社長
アウトドアブーム、大いに歓迎です!!!
少々汚れても大丈夫!という気持ちでキャンプや外遊びを子どもたちと楽しむと、今以上にアウトドアの良さが見えてくるかもしれません。


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ABOUTこの記事をかいた人

Kazuki

佐藤和樹(Kazuki Sato) 株式会社UJackの代表取締役社長。現在26歳。 趣味はキャンプと車弄りと映画鑑賞。 本社は千葉県にあり、 キャンプ用品をメインに取り扱っている。 製品の設計や開発なども独自に手掛ける。 UJack(ユージャック)は universal jack(世界に浸透する)を意味し、 文字通り世界中の人々にユージャッカーになってもらうことが目標。 あなたのアウトドアライフにさらなる”喜び”を。 Twitter、インスタグラム、Youtubeなどでも活動中!