「ダニ」と聞くと、まず畳やカーペット、ベッドなど布製品の隙間にひそむ小さな家ダニを連想しますよね。
天日干ししても中々死なない厄介な生物です。
しかし、今回取り上げるマダニは、同じダニの仲間でも外ダニで、性質や人間に及ぼす被害が格段に大きいです。
英語でもダニは「mite」、マダニは「tick」です。
生態も生息地も全く違う別物と考えてよいです。
キャンプや森林浴などアウトドアで遭遇する危険で厄介なマダニについて、詳しく解説していきましょう。

Contents
マダニとは?
マダニは節足動物で、昆虫ではなくクモやサソリに近い生物です。
テントウムシのように固い外皮に覆われ、大きさは吸血する前で約3~4mm、吸血後の体重は100倍にもなり、パンパンに膨れ上がります。
マダニは動物の血液を栄養源にします。
幼ダニ・若ダニは発育・脱皮のため、成ダニは産卵のために吸血し、その際、ウィルスなどの病原体を媒介し、感染症につながるのです。
マダニは、幼ダニ期から若ダニ期、成ダニ期と発育期ごとに異なる動物へ寄生・吸血します。
一生で吸血する期間は20~25日間ほどといわれ、他の期間は脱皮や産卵、動物へ寄生する機会を待ちながら草むらなどで生活しています。
鹿やイノシシ、野ウサギなどの野生動物が出没する場所には必ず潜んでいると思ってください。
日本に生息するマダニは約50種あり、生息地域は北海道から南西諸島まで、ほぼ日本中で確認されています。
マダニは春から秋(3月~11月)が活動期間で、特に山、キャンプ場、公園、河川敷、民家の裏庭,裏山、畑、あぜ道など草むらで被害にあいます。
特に、10~11月頃はキャンプやハイキングなど、アウトドア真っ盛りの時期で、マダニが本格的な活動をする時期と重なります。

マダニに咬まれた場合
マダニに咬まれた!という時は、皮膚科などの医療機関で即、処置を受けてください。
その時、咬まれた場所・日時・状況を医師に正確に伝えることが重要です。
肌にくっついて、吸血中のマダニを見つけた時は、無理にとるとダニの口が皮膚に残ることがあるため、ひっぱらないでください。

病院に着くまでの応急処置として、フマキラー、キンチョールなどの殺虫剤スプレー、アルコール、虫よけスプレー、イソジン、ワセリンなどをコットンに吹きかけ、マダニに被せると殺虫効果で外れることがあります。
この時注意したいのは、マダニを窒息死させてはいけません。
マダニの唾液が体内に入ることがあるからです。
ともかく、急いで病院に駆け込むことです。
マダニに咬まれたら、どんな症状が出るの?
マダニに咬まれると、皮膚が赤く腫れあがり、炎症を起こします。
かゆみを伴わないことも多く、マダニに咬まれたことに気づかない場合もあります。
それは、マダニの唾液に含まれる成分による麻酔効果だと言われています。
マダニに刺された部分には差し口と呼ばれるかさぶたが出来ています。
発熱、頭痛、発疹、リンパの腫れ、倦怠感などの症状があらわれます。

マダニが媒介する感染症
マダニに咬まれると、日本紅斑熱やライム病などの感染症や、「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」を発症する場合があります。
ライム病って?
感染したばかりの症状として、数日から数週間後にマダニの咬まれた跡が赤くなります。
また、風邪の症状に似た筋肉痛、関節痛、頭痛、悪寒もあります。
日本紅斑熱
日本紅斑熱の主な症状は、発熱、発疹(紅斑発疹)です。
39~40度の高熱が何日も続き、手足に赤い発疹がでます。
咬み口の特徴は、一見すると蚊に刺された跡を掻きむしったような、黒く、厚いかさぶたができます。
SFTS
数年前までは西日本を中心に生息していたのですが、現在は北海道でも感染例が発見されており、日本国内どこでも「SFTSウィルス」を持ったマダニの被害にあう可能性があります。
「SFTSウィルス」を持ったマダニに咬まれると、38度以上の発熱、嘔吐、下痢、食欲低下がおこります。
致死率は6~30%です。
現状では有効な薬剤やワクチンはありません。

複数のマダニ種(フタトゲチマダニ、ヒゲナガマダニ、オオトゲチマダニ、キチマダニ、タカサゴキララマダニ)からSFTSウィルスの遺伝子が検出されています。
ただし、これらのマダニ種全てが、実際にヒトへの感染に関与しているかについては、まだ分かっていません。
参考:厚生労働省
マダニに咬まれないための予防対策
野山やキャンプ場、川辺などでアウトドア活動をするときは、表面がつるつるで、明るい色の衣服を着て、裾は長靴やハイソックスの中に入れ、マダニの衣服内への侵入を予防してください。
帰宅後、入浴時にマダニに咬まれた跡はないか、衣服へマダニがついていないか、入念に調べて下さい。
髪の毛によくマダニがつくので、頭部を重点的に調べます。
咬まれて24時間以内にマダニを除去すると、感染率が低いといわれます。
次に、マダニに咬まれないための予防対策をあげてみます。
1.肌を露出させない服装
長袖、丈の長いパンツ、長めの靴下を履いて、肌の露出を少なくしましょう。
首にはタオルを巻くといいですね。
薄い色の服の方が、マダニの有無が判りやすいのでおすすめです。
明るい色の服着用は、スズメバチ対策にもなります。
2.草むらに近づかない
20cm~80cmの草であればマダニがいると思ってください。
笹には特に要注意!!マダニは「笹ダニ」と呼ばれるぐらいです。
3. 虫除けスプレー使用
虫除けスプレーはマダニにも有効です。
虫除けスプレーに含まれるDEET(ディート)という成分が、マダニの忌避剤になることがわかっています。
虫除けスプレーの効果は2時間程度が限界。

4.けものみちに注意
けものみちにはマダニが必ずと言ってよいくらいいます。
マダニは野生動物から吸血し終わって外れると、ほとんど移動せず、その場に止まる習性があります。
5.帰宅後の全身チェック
家に入る前に、まずマダニが付着していないかを確認してください。
洋服を払ったり、見つかった時はガムテープを使ってください。
帰宅直後のシャワーがおすすめです。
吸血前のマダニはもちろん、すでに吸血状態にあるマダニであってもセメント物質を出し始める前であれば水で流せます。
脱いだ後の衣服にもマダニがいないかチェックしてください。
衣類は熱湯に浸した後、洗濯をするとマダニは死滅します。

以上、マダニについてご説明してきました。
マダニは3~4月頃から増加しはじめ、10~11月頃が本格的な活動期。
秋のハイキングやキャンプのベストシーズンと重なりますので、十分注意を払ってください。
おわりに
マダニに吸血されても痛みがないことも多く、ひどくなってから気付くこともあります。

犬や猫同伴のキャンプでは、事前にフロントラインのような駆除薬を使用して、ペットのダニ対策も忘れないでくださいね。
フロントラインはペットに寄生した成ノミやマダニを速やかに駆除してくれます。
できれば、日常からペットのマダニ対策をしておくと、さあ、キャンプと言った時にあわてずに済みます。
野山やキャンプ場で遭遇する危険生物には、マダニの他、熊・イノシシ・鹿・スズメバチ・マムシ・ムカデなどがあります。
シリーズで解説していますので、他の記事も是非、ご覧ください。
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佐藤和樹(Kazuki Sato)
株式会社UJackの代表取締役社長。現在26歳。
趣味はキャンプと車弄りと映画鑑賞。
本社は千葉県にあり、
キャンプ用品をメインに取り扱っている。
製品の設計や開発なども独自に手掛ける。
UJack(ユージャック)は
universal jack(世界に浸透する)を意味し、
文字通り世界中の人々にユージャッカーになってもらうことが目標。
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