ツルと聞くと、何をイメージしますか?
北海道の釧路湿原などに生息するタンチョウヅルでしょうか?
実は日本列島の南の果て、鹿児島県にもツルの名所があるんですよ。
出水(いずみ)という所ですが、そこに渡来するツルはタンチョウヅルとは種類が違います。

次に多いのが、目の周りが赤く、体の色が少し青みがかったようなグレーのマナヅルです。
先日、筆者は出水に行ってきました。
そしてびっくりしました。なんと鶴が1万羽以上もいたんです。
ここでは一番の眺めが楽しめる、「出水市ツル観察センター」の情報や歴史をお伝えしましょう。
Contents
ツルはどこからきたの?いつ見ることができるの?
毎年、10月後半になると、鹿児島県出水市荒崎地区には、ロシアのアムール川沿いから長い空の旅をしてきたツルたちが、渡来し始めます。途中、中国や朝鮮半島の湿地帯などで羽を休めながら、はるばる3000キロメートルもの距離を1ヶ月ぐらいかけて飛んでくるのです
ツル展望所がある、出水市ツル観察センター
鹿児島県北西部の出水平野の水田地帯にあるツル観察センターは、市が運営する公共観光施設です。
観察センターは、2階と屋上がツル展望所になっています。
また2階にはツルに関して学べる資料が展示されています。
屋上からの眺めは最高に素晴らしいです。
警戒心の強いツルたちが、冬の間安心して生活できるよう整備された土地には、非常に多くのツルの姿が見られます。
出水市ツル観察センターへのアクセス・基本情報は?
場所:鹿児島県出水市荘2478番地4
電話:0996-85-5151
開所期間:11月1日から3月第4日曜日まで。開催期間中は無休
開館時間:9:00~17:00
アクセス:JR出水駅より車で20分。バスの場合はツル観光周遊バスで24分。
出水に渡来するツルの種類と見分け方
ナベヅル
成鳥は頭頂から眼先にかけて黒く細い毛状の羽毛に覆われ、頭頂の羽毛がなく裸出した部分は赤色。
頭部から頸部にかけての羽衣は白い。
鍋の底についたススのように黒い色をしているのでナベヅル(鍋鶴)と名づけられたようです。
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マナヅル
全身は灰色。頭頂は白い。
目の周りが赤く、体の色が少し青みがかったようなグレー。
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クロヅル
成鳥の頭頂は赤く、まばらに黒く細い毛状の羽毛が生える。
後頭から眼先、喉から頸部前面の羽衣は黒く、頭部の眼の後方から頸部側面にかけては白い。
体全身が白っぽい灰色をした中型のツル。
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カナダヅル
成鳥は灰色である。翼には褐色みを帯びた羽が混ざっている。
前頭部は赤く、頬が白く、暗色の長く尖った口ばしをもつ。足は暗色で長く、飛行の際には後に長く延びた足と、まっすぐ保った長い首が特徴的。
生息数が世界で一番多いツル。
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ソデグロヅル
全身がほとんど白色で、翼を広げた時その先端が黒く見える。
目の周り、クチバシ、足は赤色。
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アネハヅル
顔は黒く、目の後ろから白く長い飾り羽が出ているのが特徴。5000から8000メートルもの高さを飛ぶ鳥として知られており、ヒマラヤ山脈も越える渡りをする
参考:Wikipedia
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ソデグロヅルとアネハヅルは出水ではとても珍しく、特にソデグロヅルは絶滅の危機。ツル観察センターに行ったらぜひ探してみてください。
出水には、全15種類のツルのうち、ナベヅルやマナヅルを中心に、クロヅルやソデグロヅルやアネハヅルなど数年に一度渡来するものを合わせると、7種類のツルが渡来しています。種類の多さも日本一なのですね。
ツル飛来の様子
毎年10月中旬から11月中旬にかけて、北西の風に乗って渡来したツルは、稲刈りの終わった水田などに生えているイネの二番穂、カヤツリグサ科の雑草、セトガヤ、マツバイ、クログワイ、ジャガイモ、カエル、カタツムリ、タニシ、バッタなどを食べながら越冬します。
給餌も行われており、年間約75トンの小麦をはじめ籾、玄米、大豆などが与えられます。
また、タヌキやイタチに襲われることがないよう浅く水を張った湿地がねぐらとして用意されるなど手厚く保護されています。ツルが北へ帰る直前には約8トンのイワシが与えられます。
2月上旬から3月下旬にかけての晴天の日に、北西風によって発生する上昇気流に乗って円を描くように上って、北へと飛び去っていくのです。
出水平野に飛来するツルの繁殖地は、ナベヅルがバイカル湖からアムール川中流域にかけての湿地帯、マナヅルがアムール川中流域から上流域にかけての湿地帯です。
ツルの家族構成を観察してみよう
大きいツル2羽と小さいツル1~2羽で群れていたら、それはツルの家族と思ってください。
ツルは一度夫婦になると、死ぬまで添い遂げます。。

ツル渡来の歴史
ツルは、元々、越冬するために日本各地の水田などに、渡来してきていました。江戸時代の薩摩藩でも多くの場所でツルが観察されていました。
出水平野でツルが観察された最初の記録は1694年(元禄7年)で、海岸沿いの干拓地で発見されています。
江戸幕府がツルの保護を呼びかけていたことから、薩摩藩も領民にツルの保護を命じ、以降もツルが渡来するようになりました。
明治維新後は一転して狩猟の対象とされるようになり、乱獲によってついには1羽も渡来しなくなりました。
1895年(明治28年)に狩猟法が制定され、保護されるようになってから再び渡来するようになり、大正から昭和初期にはツルを見物するための馬車や見物所(鶴見亭)がつくられるなど出水平野の名物となりました。
1939年(昭和14年)には3908羽までに増えたツルですが、第二次世界大戦中に海軍飛行場の影響で、1947年(昭和22年)には275羽まで減少しました。
戦後、1952年に「鹿児島県のツルおよびその渡来地」として特別天然記念物に指定されました。
1989年(平成元年)には「ツル観察センター」が、1995年(平成7年)には「ツル博物館クレインパークいずみ」がそれぞれ開館しました。
今こうして沢山のツルたちが出水に戻ってくるようになった背景には、餌を与え、環境を守る活動を続けてきた出水市の努力があったのですね。
1996年には環境庁(現在は環境省)の選定した「残したい日本の音風景100選」にも「出水のツル」として選ばれています。
出水はバードウォッチングの聖地
出水にいる鳥は、ツルだけではありません。
なんと、日本で見ることができる約600種類の野鳥のうち、約300種類を出水で見ることができるのです。
「バードウォッチングの聖地」と言われる所以です。
1年を通して様々な野鳥に出会えます。

『くらべてわかる野鳥 文庫版』 (ヤマケイ文庫)
叶内 拓哉 (著)
おわりに
以上、越冬のために遥かシベリアから長旅をして鹿児島に飛んで来るツルについてお伝えしてきました。
数の多さに驚くことはもちろん、ツルたちが優雅に羽を広げて大空を羽ばたく姿は、他では決して見ることのできない、出水の冬の風物詩です。
昨年、地元の中学生らが羽数を調査したところ、1万2634羽を確認したそうです。
飛来したツルが1万羽を超す「万羽鶴」は22年連続。
歴史を見ると、ツルもまた戦争に翻弄されたのだということがわかり、なお一層大切にしなければ、という感を強くしました。
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佐藤和樹(Kazuki Sato)
株式会社UJackの代表取締役社長。現在26歳。
趣味はキャンプと車弄りと映画鑑賞。
本社は千葉県にあり、
キャンプ用品をメインに取り扱っている。
製品の設計や開発なども独自に手掛ける。
UJack(ユージャック)は
universal jack(世界に浸透する)を意味し、
文字通り世界中の人々にユージャッカーになってもらうことが目標。
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